F1をテレビで観ている方の中には、「サウンドバー(シアターバー)や外部スピーカーを導入すると、どのくらい音が良くなるんだろう?」と気になったことがある方も多いのではないでしょうか。
実は私自身も、同じ疑問を持っていました。サウンドバーを導入すればテレビの音が格段に良くなる、というレビューはよく見かけますが、F1観戦という用途に絞るとどの程度の変化があるのかは、なかなか情報が見つかりません。そこで今回、Amazonでサウンドバーの入門機を選び、実際にF1 TVを視聴して確かめてみました。
結論:テレビ内蔵スピーカーからの乗り換えなら、この価格帯でも十分満足できる
DENONのサウンドバー入門機「DHT-C210K」を、Amazonで18,337円で購入しました。実売2万円を切る価格帯ながら、F1観戦時のマシン音・実況・無線の聞き取りやすさが明確に向上し、映画の歌唱・ライブシーンでも迫力が増しました。サラウンド感は控えめですが、テレビ内蔵スピーカーと比較すれば価格以上の満足度があります。
以下、購入の決め手と実機での使用感を記録します。
DHT-C210Kはどんな機種か
DHT-C210Kは、DENONのサウンドバーラインナップの中で最も価格が抑えられた入門機に位置づけられます。上位機種にはより多チャンネル・多スピーカー構成のモデルがありますが、DHT-C210Kは「テレビの音を手軽に底上げしたい」層向けの一体型モデルです。
視聴環境
今回の検証環境は以下の構成です。
- テレビ:REGZA 55Z570L
- ストリーミングデバイス:Apple TV 4K(第3世代)
- 接続:Apple TV 4K → HDMI → DHT-C210K → HDMI(eARC) → REGZA
Apple TV 4KをいったんDHT-C210KのHDMI入力に接続し、そこからeARC経由でREGZAに音声を戻す構成です。この接続が組めるかどうかが、後述するHDMI入力の有無というDHT-C210K選定理由に直結しています。
購入の決め手:内蔵サブウーハーとHDMI入力
購入比較の対象にはJBLのサウンドバーもありました。価格だけ見ればJBLの方が安かったのですが、決め手は次の2点でDHT-C210Kに軍配が上がりました。
- サブウーハーが本体に内蔵されている:2万円以下の価格帯だと、サブウーハー別売り・別置きが多い中で、単体で低音まで完結する点は設置面でも配線面でも楽でした。
- HDMI「入力」を備えている:比較したJBLモデルは光デジタル・HDMI(ARC/eARC)出力接続はあってもHDMI入力端子がなく、他機器を経由させる構成が組みにくい仕様でした。DHT-C210KはHDMI入力を持つため、Fire TV StickやApple TV 4Kなどの外部機器を直接つないだ上でテレビ側にeARC/ARCで出す、という配線の自由度が確保できます。

この2点が、価格差を吸収してでもDHT-C210Kを選んだ理由です。
なお価格は変動があり、購入時はAmazonのプライムデーで18,337円でしたが、本記事執筆時点では23,800円まで上がっていました。セール時には19,800円程度まで下がるようなので、購入を検討する場合はタイミングを見て価格をチェックすることをおすすめします。

DENON DHT-C210K
デュアルサブウーハー内蔵/Dolby Atmos/ 6スピーカーユニット搭載/テレビ用/HDMI 2.1ケーブル付属/eARC/Bluetooth対応
実機での使用感
F1観戦:マシン音だけでなく、実況・解説・無線がよく聞こえる
一番の変化は音の解像度でした。エンジン音やタイヤが縁石に乗った時の音がクリアになったのはもちろんですが、それ以上に実感したのは実況・解説の声、チームとドライバーの無線交信が聞き取りやすくなったことです。テレビ内蔵スピーカーでは音がひとかたまりに聞こえていたのが、声の帯域がはっきり分離するようになりました。
F1 TVの「Reduce Loud Sounds」設定に注意
F1 TVの動画再生時、音声設定に「Reduce Loud Sounds」という項目があり、これがオンになっていました。サウンドバー導入を機に気づいてオフにしたところ、音量感が全体的に大きくなりました。テレビ内蔵スピーカーで視聴していた際は気づきにくい設定ですが、外部スピーカーに変えるタイミングで一度確認する価値があります。

この設定、名前だけ見ると「うるさい音を消す」機能に思えますが、実態は少し違います。仕組みとしてはダイナミックレンジ圧縮(音の大小差を圧縮する処理)で、音が大きい部分(エンジン音のピークやBGMなど)を抑えつつ、実況やチーム無線のような小さい音を相対的に持ち上げることで、全体の音量差を狭めるものです。深夜などに音量を下げて視聴する際、テレビ内蔵スピーカーの音割れや近隣への配慮のために用意された機能だと考えられます。
裏を返すと、この機能がオンの状態では、F1のエンジン音やクラッシュ音も「大きい音=圧縮対象」として扱われてしまいます。オフにすると音量感が大きくなったように感じたのは、この圧縮が解除され、音源本来のダイナミックレンジがそのまま出力されるようになったためです。サウンドバー導入で音の分離が良くなったこととあわせて、この設定変更も「実況・無線が聞き取りやすくなった」体感に寄与していたと考えられます。
※この設定はApple TVのみで、Fire TVにはありませんでした。
サウンドモードの選び方:Pureは要注意
購入直後は「原音に忠実」という言葉に惹かれてPureモードを選んでいました。しかし後から確認したところ、Pureモードはバーチャルサラウンドやアップミックス、ダイアログエンハンサーといった処理をすべて停止するモードで、DHT-C210Kが持つサラウンド表現をあえて切ってしまう設定でした。加えてPureモードではDolby Atmos再生にも対応していません。
そこでMovieモードとMusicモードを試してみたところ、実況の聞き取りやすさはMovieモードの方が心持ち上回る印象でした。F1中継のように実況・無線の音声を重視するなら、Movieモードを軸にするのが良さそうです。
サラウンドは控えめ(ただし環境要因もありそう)
Movie/Musicモードに切り替えると、注意して聴けば「サラウンド感はある」と分かる程度には効いています。ただし、幅890mmの一体型サウンドバーを1.8mほど離れた位置から聴いているため、音の広がり自体に物理的な限界があるとも感じました。この点は本機固有の弱さというより、一体型サウンドバーというフォームファクター全般に共通する制約かもしれません。上位機種やリアスピーカー追加構成との違いが出るのはこのあたりだと思います。
映画:歌やライブシーンの迫力が増す
映画視聴では、特に歌唱シーンやライブシーンでの迫力向上が体感できました。サブウーハー内蔵の効果もあり、低音がしっかり出ることで音の厚みが変わります。
F1以外については他の専門サイトの記事のほうが圧倒的に詳しいので、そちらに任せます。
※DHT-S217はDHT-C210Kと同じものです

おまけ:光デジタル接続でCDデッキも鳴らせる
副産物的な発見として、光デジタルケーブルでCDデッキを接続したところ、CDの再生ができました。DHT-C210Kは入力切替で光デジタル入力が「OPT」として独立して選べるため、テレビ用のHDMI/eARC接続とは別に、CDデッキのような光デジタル出力を持つ機器を単独の入力ソースとしてつなげます。
今どきCDデッキを持っている人は少数派だとは思いますが、自分のように手元に残している場合、サウンドバー1台でテレビ用途とCD再生を兼ねられるのは地味に便利でした。
まとめ
サラウンド表現には割り切りが必要なものの、テレビ内蔵スピーカーからの底上げという意味では、2万円を切る価格を考えると十分にコストパフォーマンスが良いというのが結論です。F1の実況・無線がクリアに聞こえるようになった点は、レース観戦を重視する方には特におすすめできるポイントだと感じました。

DENON DHT-C210K
デュアルサブウーハー内蔵/Dolby Atmos/ 6スピーカーユニット搭載/テレビ用/HDMI 2.1ケーブル付属/eARC/Bluetooth対応
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